材木屋考
2008年2月 8日 09:32
木青会(木材業界の若手の集まり)を離れて2年以上たって、木材業者とのつながりが薄くなってきていることに気が付きました。
そういえば、昔から木材業者間の疎通なんてものは希薄でしたから当たり前といえば当たり前なのですが・・・。
今までの業者間というものは競争相手でしかなく、お互いに切磋琢磨していこうという意識の薄い業界でした・・・が、これからの商売のあり方を考えていくと「共に生きる」がキーワードになりそうです。
巨大なメーカーや問屋や材木屋やプレカット工場は一人で戦っています。そりゃそうです。喰うか喰われるかの企業間競争をしているのですから。しかし、彼らでさえもライバルとされたところと手を取り合おうとしています。
でも彼らの業務提携や仕事の分け合い方は、自分に都合のよいことだけを選択しているだけの内向きの協力関係です。
ヤマトタテルに共感している私が考えているのは、あくまでもこの業界にいるのなら「住まう人」のために何が出来るのかということのための外向きの協力関係上の「共に生きる」ことです。
要するに、木造業界の業界地図が、大手中心・プレカット化・新建材化・キット化によって、木材の事を理解する大工との距離が遠く線が細くなってしまい、木材を正しく使っていただく素地がなくなりつつあることで、木材業界が危惧する粗悪住宅が普通に出来てしまっていることに、我々はなすすべがないという現状を打破しなければならないことだと思っています。
これを各社がバラバラにやっていたのでは、結局自分だけのためのマスターベーションになってしまい、大手がやっていることと変わらないことを小手がやってしまうことにつながります。
大手にとって一番都合がいいのは、小手が自分の土俵に乗ってくれることです。これは大手にとって戦いやすい!一番やっちゃだめなことです。
大手が乗れない小さな土俵をたくさん作り、つなげることです。
小さな土俵を持ち寄り大きくすることとは根本的に違います。
これをやれば、各地域の木材商や、地域に根ざした・・・いや、根ざそうとしている住宅会社と組むことが出来るんです。・・・やっと結論に近づいた。・・・といいながら結論はありませんよね!
皆と同じこと、大手と同じこと、うまくやっている人の猿真似、何でもかんでも代理店やFC・・・これでは絶対にだめです!
「住まう人にとって、その住宅にとって」本当に必要とされる資材と情報が提供できるかどうかが問題なんですよね。
またこれが、地域に根ざした住宅会社の目指す方向でもあるわけですから、木材業者間の情報交換を最大限に生かして「共に生きる」ことを模索すればいいと思います。
相手が何を求めているかということが商売の基本となることは承知していると思いますが、相手が勘違いしていることも多々あるわけで、今までその勘違いに付き合いすぎた木材業界の不幸が事実として存在していることですよね。
噛み砕いて言うと、この不況下で建築業界は生き残り策を「見栄え・省力化・低価格」に求めた結果、木材業界もそれに答える形で、「新建材化・プレカット化・低級木材化」への道を突き進んできたのだと思うのです。
ある意味、短期的には効果が出ましたが、その後に大きな問題をいくつも抱えることになってきたのです。
1、新建材化の弊害である揮発性有害化合物の使用の危険性が叫ばれ、その結果F☆☆☆☆なる物が現れて、然もこれを使えば健康住宅だという認識が設計者・建築業者のみならず、一般ユーザーにまで浸透していき、自然素材(木材含む)までが「F☆☆☆☆ですか?」などと言われる始末を起こしてしまっていること。
ちなみにFはフォルムアルデヒドのこと。☆4つは、最低レベルだが確実にフォルムアルデヒドが出るという指標。
2、大工の技量や質までもが低下してきたことは、プレカット化によって大工仕事にまで異様なまでのスピード化を求めることや、新建材ばかり使わせて若い大工の技量を磨く機会を与えられないばかりか、パネル化・下職化・建材店による仕上げ工事請負などにより、1軒あたりの大工請負金額が極端に少なくなって、時間を削ったり手間を削るなどして収入を合わせている現実があるからです。
ちなみに、大工の工料には「一手間かける」ことが入っているはずなのですが、「真っ直ぐな物しか使わねぇ!」だとか、持ち込んだ材料の家屋への取り込みの手伝いを拒否するだとか、造作材に超仕上げまで掛けて持ってこい(手鉋は掛けないのか?)など、手間を惜しむ仕事の仕方が増えているように思えますが、「手作り」の住宅が手間を惜しんで良い住宅作りが出来るとは思えません。
3、低価格化の要求に木材業界は恥も外聞も無く、ただただ妄信的に建築業界に応えてきたことは、日本の腐朽菌に対しての耐性を持たない北欧のホワイトウッドの普及や、湿気や耐久性に問題があるMDF素材やオレフィンシート貼りの造作材の普及、高速プレカット機械に対応できるというだけの過度なまでの高精度・高乾燥材の供給、歩留まりが悪いから決して端材の有効利用でもないし、破棄時には産業廃棄物として2次利用すら出来ない集成材の多用などを生み出してしまいました。
結局、建築業界にとっても「見栄え良く、簡単に早く、安い住宅」が販売できることは理想でしたが、それを達成するときのプロセスが上記のような勘違いを想定せずに始めてしまったことが、「安っぽく、手間を省く、安物の住宅」を生み出してしまったということなのでしょう。
これからは、我々も木の専門家集団として一般ユーザーに対して「木の家づくり」の正しい情報と共に商材が流れていることを認識できるようなことを、「共に生きるメンバーヤマトタテル」と共に考えアピールしていくことが木材産業界にも必要なことだと思われます。
『共に生きる』住宅会社がより良い企業に変わっていただくためのサポート体制づくりには、今まで付き合ってきたお客様である住宅会社の中でも救いようの無いところをあえて切る覚悟も持ちつつ、正しい商材の確保でのみ商売できる環境づくりもしなくてはなりません。言葉だけきれいごと言っていても、扱い材料に申し開きできないものがあっては何にもなりませんから。
(株)ムラモト 村本 喜義
そういえば、昔から木材業者間の疎通なんてものは希薄でしたから当たり前といえば当たり前なのですが・・・。
今までの業者間というものは競争相手でしかなく、お互いに切磋琢磨していこうという意識の薄い業界でした・・・が、これからの商売のあり方を考えていくと「共に生きる」がキーワードになりそうです。
巨大なメーカーや問屋や材木屋やプレカット工場は一人で戦っています。そりゃそうです。喰うか喰われるかの企業間競争をしているのですから。しかし、彼らでさえもライバルとされたところと手を取り合おうとしています。
でも彼らの業務提携や仕事の分け合い方は、自分に都合のよいことだけを選択しているだけの内向きの協力関係です。
ヤマトタテルに共感している私が考えているのは、あくまでもこの業界にいるのなら「住まう人」のために何が出来るのかということのための外向きの協力関係上の「共に生きる」ことです。
要するに、木造業界の業界地図が、大手中心・プレカット化・新建材化・キット化によって、木材の事を理解する大工との距離が遠く線が細くなってしまい、木材を正しく使っていただく素地がなくなりつつあることで、木材業界が危惧する粗悪住宅が普通に出来てしまっていることに、我々はなすすべがないという現状を打破しなければならないことだと思っています。
これを各社がバラバラにやっていたのでは、結局自分だけのためのマスターベーションになってしまい、大手がやっていることと変わらないことを小手がやってしまうことにつながります。
大手にとって一番都合がいいのは、小手が自分の土俵に乗ってくれることです。これは大手にとって戦いやすい!一番やっちゃだめなことです。
大手が乗れない小さな土俵をたくさん作り、つなげることです。
小さな土俵を持ち寄り大きくすることとは根本的に違います。
これをやれば、各地域の木材商や、地域に根ざした・・・いや、根ざそうとしている住宅会社と組むことが出来るんです。・・・やっと結論に近づいた。・・・といいながら結論はありませんよね!
皆と同じこと、大手と同じこと、うまくやっている人の猿真似、何でもかんでも代理店やFC・・・これでは絶対にだめです!
「住まう人にとって、その住宅にとって」本当に必要とされる資材と情報が提供できるかどうかが問題なんですよね。
またこれが、地域に根ざした住宅会社の目指す方向でもあるわけですから、木材業者間の情報交換を最大限に生かして「共に生きる」ことを模索すればいいと思います。
相手が何を求めているかということが商売の基本となることは承知していると思いますが、相手が勘違いしていることも多々あるわけで、今までその勘違いに付き合いすぎた木材業界の不幸が事実として存在していることですよね。
噛み砕いて言うと、この不況下で建築業界は生き残り策を「見栄え・省力化・低価格」に求めた結果、木材業界もそれに答える形で、「新建材化・プレカット化・低級木材化」への道を突き進んできたのだと思うのです。
ある意味、短期的には効果が出ましたが、その後に大きな問題をいくつも抱えることになってきたのです。
1、新建材化の弊害である揮発性有害化合物の使用の危険性が叫ばれ、その結果F☆☆☆☆なる物が現れて、然もこれを使えば健康住宅だという認識が設計者・建築業者のみならず、一般ユーザーにまで浸透していき、自然素材(木材含む)までが「F☆☆☆☆ですか?」などと言われる始末を起こしてしまっていること。
ちなみにFはフォルムアルデヒドのこと。☆4つは、最低レベルだが確実にフォルムアルデヒドが出るという指標。
2、大工の技量や質までもが低下してきたことは、プレカット化によって大工仕事にまで異様なまでのスピード化を求めることや、新建材ばかり使わせて若い大工の技量を磨く機会を与えられないばかりか、パネル化・下職化・建材店による仕上げ工事請負などにより、1軒あたりの大工請負金額が極端に少なくなって、時間を削ったり手間を削るなどして収入を合わせている現実があるからです。
ちなみに、大工の工料には「一手間かける」ことが入っているはずなのですが、「真っ直ぐな物しか使わねぇ!」だとか、持ち込んだ材料の家屋への取り込みの手伝いを拒否するだとか、造作材に超仕上げまで掛けて持ってこい(手鉋は掛けないのか?)など、手間を惜しむ仕事の仕方が増えているように思えますが、「手作り」の住宅が手間を惜しんで良い住宅作りが出来るとは思えません。
3、低価格化の要求に木材業界は恥も外聞も無く、ただただ妄信的に建築業界に応えてきたことは、日本の腐朽菌に対しての耐性を持たない北欧のホワイトウッドの普及や、湿気や耐久性に問題があるMDF素材やオレフィンシート貼りの造作材の普及、高速プレカット機械に対応できるというだけの過度なまでの高精度・高乾燥材の供給、歩留まりが悪いから決して端材の有効利用でもないし、破棄時には産業廃棄物として2次利用すら出来ない集成材の多用などを生み出してしまいました。
結局、建築業界にとっても「見栄え良く、簡単に早く、安い住宅」が販売できることは理想でしたが、それを達成するときのプロセスが上記のような勘違いを想定せずに始めてしまったことが、「安っぽく、手間を省く、安物の住宅」を生み出してしまったということなのでしょう。
これからは、我々も木の専門家集団として一般ユーザーに対して「木の家づくり」の正しい情報と共に商材が流れていることを認識できるようなことを、「共に生きるメンバーヤマトタテル」と共に考えアピールしていくことが木材産業界にも必要なことだと思われます。
『共に生きる』住宅会社がより良い企業に変わっていただくためのサポート体制づくりには、今まで付き合ってきたお客様である住宅会社の中でも救いようの無いところをあえて切る覚悟も持ちつつ、正しい商材の確保でのみ商売できる環境づくりもしなくてはなりません。言葉だけきれいごと言っていても、扱い材料に申し開きできないものがあっては何にもなりませんから。
(株)ムラモト 村本 喜義
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